P2P(ピアツーピア)
P2Pとは、ピアツーピア(peer-to-peer)ネットワークの略称です。主にビジネスシーンで使用されるB2B(Business-to-Business)やC2C(consumer-to-consumer)などの言葉と同じ用法だと言えます。
ビットコインをはじめとする仮想通貨を支える技術「ブロックチェーン」は、P2Pネットワークという技術を応用して作成されています。
このページでは、もう一つのネットワークの形態・方式であるクライアントサーバー方式と比較することで、両者の違いを明らかにしていきます。
P2Pとクライアントサーバー方式の違い
コンピュータ・ネットワークの方式には、大きくP2P(ピアツーピア)方式とクライアントサーバー方式の2種類があります。
両者の違いを理解することで、それぞれのメリット・デメリットを把握していきましょう。
P2P(ピアツーピア)方式の特徴・仕組み
peer-to-peer(ピアツーピア)とは、「対等な者どうしの間の」という意味を持つ言葉です。
peer-to-peer方式は、その名の通り、対等の者(Peer、ピア)同士が通信することを特徴とする通信方式です。
「P2P」という略称で使用される場合が一般的です。
P2Pによるネットワークは、オーバーレイ・ネットワークの一つと考えられています。
オーバーレイ・ネットワークとは
オーバーレイ・ネットワーク(overlay network)とは、あるコンピュータネットワーク上に構築された別のコンピュータネットワークのことを言います。
オーバーレイ・ネットワーク上のノードは、下位ネットワークのトポロジー(LANの接続形態の総称)を意識せずに通信することが可能です。
P2Pは、特にサーバーは決まっておらず、ネットワークに繋がったコンピュータ(ノード)が、それぞれ対等の立場でお互いにリソースなどを共有します。
そのため、P2P方式は、端末数が膨大になっても特定端末へのアクセス集中が発生しづらいという点が特徴です。
また、専用のサーバーを用意する必要があるクライアントサーバー方式に比べて、ネットワーク設定や管理が容易な点も特徴です。
P2P(ピアツーピア)のメリット
高スケーラビリティ・低コスト
特別な機能や役割を持った端末が存在しないため、接続するユーザ数が膨大になっても特定の端末に負荷が集中しにくいというメリットがあります。
ネットワーク障害に強い
P2P方式では、全ての端末が等価であるため、特定の端末に障害が発生しても全体への影響は発生しないという利点があります。
匿名性
P2Pのメリットとして挙げられるものの一つに匿名性があります。
ピア間の通信を暗号化したり、データの中継転送の回数を重ねることで、送受信者を解析することが難しくなります。
しかし、立場が違えば、この特徴はデメリットにもなります。たとえば、管理者側からすれば、特定が困難になるため、必ずしもメリットであるとは言い切れません。
P2P(ピアツーピア)のデメリット
セキュリティリスク
P2P技術を利用したファイル交換を行う事ができるソフトでは、マルウェア(ウィルス)が混入したファイルを受け取ってしまうリスクがあります。
ウィルスに感染すると、ユーザが意識しないうちに個人情報が漏洩する可能性があります。
通信相手を特定することが困難
サーバを介さず、一般ユーザー(Peer、ピア)同士が通信でやりとりをするので、不正の発見が遅くなってしまったり、特定が困難になる場合があります。
クライアントサーバー方式の特徴・仕組み
クライアントサーバー方式は、多くの企業・サービスで採用されているネットワークシステムです。クラサバと略されたり、C/Sなどと表記される場合があります。
クライアントサーバ方式では、ネットワークに接続されたコンピューターは、「クライアント」と「サーバー」の2種類に分けられます。
一般的には、多数のクライアント(依頼者)に対して1つのサーバー(提供者)を関連付けます。
クライアントは1つのサーバーとだけ通信することが出来ます。
そのため、あるクライアントが他のクライアントと通信するためには、必ずサーバーを介して行う必要があります。
クラサバは、従来の中央のホストコンピュータが全て処理していたホスト集中型システムを改良して生み出されたネットワークシステムであり、クライアントに中央ホストコンピュータ(サーバ)の処理を肩代わりさせている点が特徴です。
クライアントサーバ方式では、クライアント数が膨大になると、サーバおよびその回線に負荷が集中するので、通信遅延が発生することがあります。
これを回避するためには、非常に処理能力の高いサーバと広い帯域を持った回線を用意する必要があります。
クライアントサーバ方式のメリット
サーバ負荷を分散
クライアントも一部データやプログラムを保持し、処理を負担するため、サーバへの不可を軽減させることが出来ます。
インターネットへの負荷が低い
Webサイトなどの送信専用サーバが集約されているサイトでは、CDN(Contents Delivery Network)によるキャッシュサーバや代理サーバによってバックボーン回線の帯域を使用しないように負荷分散されています。
クライアントサーバ方式のデメリット
スケーラビリティが低い・高コスト
クライアントサーバー方式では、クライアントの数が増えるごとにサーバの処理能力およびサーバにつながっているネットワーク回線に負荷が集中していまいます。
そのため、サーバーに掛かる負荷量が限界に達すると実用的な配信が困難になります。
これを回避するためには、費用をかけてサーバや回線を増強・増設する必要があり、高コスト化の懸念があります。
障害に弱い
クライアントサーバ方式では、サーバがダウンしてしまうと全てのクライアントがデータ受信が不能になります。
P2P方式とクライアントサーバー方式の比較表
P2P方式 | クライアントサーバー方式 | |
---|---|---|
管理者 | なし | あり |
通信形態 | コンピュータ同士でやり取り | サーバーとクライアントでやり取り |
アクセス集中 | 発生しずらい | 発生しやすい |
スケーラビリティ (拡張性) | 高い※ | 低い |
耐障害性 | 高い | 低い |
※接続するユーザ数が膨大になっても特定の端末に負荷が集中しにくい。
ブロックチェーンにおけるP2P
ビットコインを支えるブロックチェーン技術は、P2Pによって作成されています。
P2Pでは、中央集権的なサーバが存在しないため、分散型ネットワークと呼称されます。
ブロックチェーンは、P2Pネットワークを利用して、複数のノードが同じ取引データを保持する事で成立します。
つまり、ブロックチェーンネットワークに参加している利用者全員で、一つのブロックチェーンを作成していくことになります。
ブロックチェーンは、それぞれのチェーン内であらかじめ合意したルールに従い、データの取引履歴を数分ごとに共有し、相互に取引の正確性を証明します。
ビットコインなどの暗号通貨では、プルーフオブワーク(Proof of Work : PoW)という仕組みを採用しています。
プルーフオブワーク(Proof of Work)
プルーフオブワークとは、ブロックに正しいトランザクションが記録されているかを承認する作業のことを言います。
膨大な計算量を必要とする作業を成功させた人が取引の承認者となり、新たなブロックをブロックチェーンに繋ぐ権利を得ることが出来ます。
P2Pネットワークでは、悪意のあるユーザーが参加した場合でも対処することが可能です。
悪意のあるユーザーは、意図的に不正なブロックを既存のチェーンに追加することでチェーンを分岐させようと試みます。
ブロックが複数存在する場合は、最も長いチェーンを正当なものとして扱います。
このブロックの承認には、ノードによる計算の総量の過半数(51%)が必要となります。
これにより、不正なブロックが追加された場合でも、その他の参加者によって正しいブロックが追加され、チェーンに紐付けられます。
ただし、悪意のあるユーザーが全体の51%の計算量を保持すれば、ビットコインの信用が崩壊し、価値が暴落してしまうと言われています。
まとめ
P2P(ピアツーピア)は、既存のクライアントサーバー方式の概念を覆すWebシステムです。
ピアツーピアと言えば、その技術を応用した「Winny」を思い浮かべる人も多いため、必ずしも良いイメージを持つ人ばかりではありません。
しかし、LINEやSkypeなどの通信サービスにもピアツーピア技術は利用されているなど、実際は私達にとって身近な存在であると言えます。
そして、暗号通貨を支えるブロックチェーンは、このネットワークシステムを採用しており、有用性の高い技術として実用化されています。
暗号通貨におけるP2P技術は、複数のコンピュータ(ノード)を経由する事で、マイニングや分散台帳への書き込みを行うことを可能としています。
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